KIRARI MACHINOHITO

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下井 茂文(しもい しげふみ)さん

今回は近江八幡市安土町下豊浦にある活津彦根神社宮司で、雅楽の笙演奏者であり、指導者でもある下井茂文さんをご紹介します。

彦根市の地名由来となった活津彦根命を御祭神とする活津彦根神社にて生を授かり、神主となるために伊勢神宮が運営する神職の養成機関、神宮研修所を学び舎とされました。そこで国史、古事記、神道神学の座学から、実践的な書道、剣道、神社祭式、雅楽などを学ばれました。雅楽の授業では龍笛(りゅうてき)、篳篥(ひちりき)、笙(しょう)の3管から楽器を選ばなければならず、家にあって馴染みのあった笙を選ばれました。「週に4コマ(1コマ45分)、楽長(伊勢神宮の楽師の長)から2年間雅楽を習いました。鳴らしにくい楽器は鳴らす技量が、鳴る楽器は鳴らし方を知るだけですから、一所懸命指で押さえるパターンを覚えました。若かったのと笙が好きだったので、早く演奏出来る様になったのです。」と笑われます。神宮研修場卒業後、太郎坊阿賀神社に奉職されますが、引続き6月に5日間開催される神宮雅楽講習会4度受講し、上級資格を取得されます。更にその後、東京にて8月に3日間開催される神社本庁中央研修所雅楽祭祀舞指導者養成研修会で5度受講し、のちに主席楽長となられる豊 英秋(ぶんの ひであき 宮内序式部職学部楽師)氏に師事され、『笙五級上』を取得。講師として広く雅楽を教えられる立場となられ、滋賀県神社庁雅楽研修講師に就任されました。

 

笙は、高さの異なる音を一度に鳴らすことができる楽器です。吹口に息を入れると、17本の竹管のうち15本のみについているリードが振動して、吹いても吸っても同じ音が出ることが特徴です。指孔を5~6つ同時に押さえて、11種類の和音を響かせる「合竹(あいたけ)」という奏法が特徴的で、その音色は「天の声」にも例えられています。構造上、楽器の内部が呼気によって結露しやすいため、演奏前や間に火鉢やコンロなどに楽器をかざして、楽器と内部の空気を暖めることが必要不可欠です。更に1年間に一度、10日間程度の洗い替えと言われるメンテナンスが必須です。その際には、リードにおもりとして蜜蝋と松脂の混合物を付け、音の高低を調節。笙のリードには青石(しょうせき)という、孔雀石を少量の水を入れた金属の器ですった液が塗られますが、これは、リードの切り溝の隙間を埋め息漏れを防ぐためと、水分を分散し蒸散を促進させるためです。本体の竹管は茅葺屋根の煤竹(すすだけ)が良いが、建築様式の変遷によって材料不足となっています。そのため近年では、白竹で作られる笙もたくさんあります。下井さんの笙は、下から奥様のご実家の煤竹、白竹、築数百年の煤竹で作られています。銀の帯で束ねられている笙の外観は、まるで翼をたたんで休んでいる鳳凰の様に見えることから、鳳笙とも呼ばれています。

 

下井さんが雅楽を始められて45年。明治6年から宮中以外の一般人でも、たしなめるようになった雅楽について「雅楽の奥の深さが解ってくると、もっともっとと探求したくなるんです。管絃楽(8種類)と舞楽と唄・朗詠で織り成す人の声と楽器の音色。そして笙の楽しさ。多くの人に楽しんでもらって、演奏者を増やしていきたいですね」と話されます。現在下井さんは、ご自身の後継者として現任神職の演奏者の2名に、毎月2回指導されています。また一般の人を対象に、多賀大社が主催される雅楽講座(龍笛(りゅうてき)、篳篥(ひちりき)、笙(しょう))でも、年間20回開催の講座で指導されています。ご興味のあるお方は、是非お問い合わせ下さい。

 

場所/多賀大社参集殿 連絡先/多賀大社社務所内「雅楽講座」係
TEL 0749-48-1101(代) FAX 0749-48-1105

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