ふるさとに
芸術・文化・伝統・風土を育む
今回は東近江市垣見町にあるアトリエオクハシ子供造形教室で、立体・絵画の楽しさを教えておられる、美術講師の加藤千晶さんをご紹介します。
1984年から画塾として芸術指導されるアトリエオクハシさん。実績豊富な芸大・美大受験教室や一般絵画教室とは別に、図画工作の好きな小学生に、版画・立体・絵画の楽しさを教える子供造形教室があります。そこでは「発想力」「表現力」「思考の柔軟性」など、学校教育から減りつつある芸術を、学びを通して感性を育てるカリキュラムで小学生を対象に、毎週土曜日の午前(生徒30人講師2人)と午後(生徒15人講師1人)の2時間ずつ、加藤さんが指導されています。
加藤さんは子どもの頃から、とにかく絵を描くことが好きで、特に自分のイメージで描く絵や周りのモノを見て描く写生が好きだったと言われます。中学校には美術部はなかったのですが、独自で好きな絵を描き続けられた加藤さんは「この時期から絵具を使うのが好きになった」と感じられたそうです。そして八日市文芸会館で開催される『つくってん』『表現展』など精力的な活動に憧れて、八日市高校の美術部に入られます。ここで先生の助言もあって、綺麗な色に感動した日本画を受験専攻に決められました。受験の基本はデッサン。更に上手くなりたいとアトリエオクハシに入塾し、来る日も来る日も何時間もデッサンと向き合われます。ここでの経験もあって、大学そして大学院の卒業制作で、加藤さんは学長賞と大学院賞を卒業制作でとられました。在学中から友禅染の柄の美しさに魅せられ、卒業後は図案を描く仕事がしたいと、歴史と伝統ある世界に踏み込まれます。職場にも慣れ、図案家として仕事は充実していましたが、出産を機に両立に悩まれた末、退職されることとなりました。
その後、子育ても一段落した頃「やっぱり絵を描いたり、好きな仕事がしたい」と思いが募り、学生の頃に手伝っていた子供造形教室の事を奥橋さんに尋ねられました。すると「ちょうど先生を探していたところなんよ」と言われ、アトリエオクハシ子供造形教室で教鞭をとることとなり、今年で7年目を迎えられました。加藤さん自身が良き理解者や、教えてもらえる指導者が身近に居ることの大切さを、身をもって経験しているからこそ、感性が育つ13歳までの子供のうちに、発想力を広げ、心を豊かにするカリキュラムを考え続けておられます。何よりも成功体験をして欲しいと、絵の具を使う頻度を多くすることを心がけておられます。「学校にもよりますが、年に絵の具を使った絵画作品は2、3枚くらいで、家でも絵具を使う人は少ないと思います。絵具を上手に使えると、コンクールで受賞するチャンスは増えます。賞をもらうと自信にもなるし、励みにもなります。何より誉められると嬉しくて、また描きたいなってなりますよね」と話されます。誉めて伸ばすは、人材教育の基本ですからね。更に見てすぐにワクワクする見本づくり。「美術・図工の好きな子は多いけど、もっと好きになって欲しいから、楽しいと思う事を授業として企画し、見本を見せて「こんなんできる」「こんなん好き」と見てすぐに解る様に工夫しています」と話されます。ホームぺ―ジに掲載された作品やブログを見ると、好きだからこそできる好奇心をくすぐるプレゼン、子どもでなくてもワクワクしますね。生徒達との会話が盛り上がったり、その成果が見えたら嬉しいでしょうね。また「成績が上がった」とか「表彰されて展覧会に出た」という親御さんの声も加藤さんの励みになるようです。今後益々のご活躍をお祈りします。
アトリエオクハシ 子供造形教室 http://till1616.blog122.fc2.com/