ありがとうマンが贈る
〜心に残るありがとう〜 話
2021.12.02
高校二年の終わり、図書館で偶然隣に座った君に、僕は一目惚れをした。僕はそれから学校が終わると、駆け足で図書館に通い、いつも君の事を探していた。勇気を出して話し掛けてみた事が切っ掛けで、僕は君と友達になる事が出来たんだよね。君はとても可愛くて、僕なんかじゃ絶対に不釣合いだと思っていたし、側に居られるだけで幸せだった。彼氏がいる事も判ったから、好きだという気持ちも伝える事が出来ないでいた。そんなある日、僕は君の異変に気付いた。会った時よりも大分やつれていたから、「大丈夫?」と聞くと、君は笑いながら、「受験のせいで食欲がないだけよ」と言った。だから僕もそんなに気には留めていなかったんだ。でも、それから2、3ヶ月も君と会えなくなるだなんて思ってもいなかった。あの後、眩暈で倒れてそのまま入院をしていただなんてさ。久しぶりに図書館に来た君は帽子を被っていて、僕は聞いてはいけない質問をしてしまったんだよね。この時まで、僕は君の病気を知らなかったんだ。「私、白血病なんだって…」初めは信じられなかったけど、君が帽子を脱いだ姿を見て、僕は全てを理解したんだ。君はそれからずっと元気がなかったけど、暫くして嬉しそうに僕に話しかけてきた。「ドナーの人が見つかったの!」僕もこの時は心から嬉しかった。でも結局、ドナー側の都合で移植が駄目になってしまったんだよね。君は泣きながら、こう言ったよね。「彼氏にも、ドナーにも逃げられちゃった⋯」そんな君に、僕は勇気を出して告白をしたら、「こんな私でいいの?」と承諾してくれた。その時に初めて僕は、君の手を握ったんだ。骨と皮だけになっていて、驚く程に細くなっていた。凄く凄く温かかった。それから1ヶ月後に、君は僕に手紙を残して旅立った。「あなたと付き合えた1ヶ月間、本当に幸せでした」苦労して書いたと解る字を見て、僕はただ泣く事しか出来なかった。一緒の大学へ行こうと約束していたのに、君の願いを叶えられず本当にごめん⋯。
君が居なくなってから、もう8年が経ちます。大学も卒業し、もう3年。来月、君と同じ境遇の方に、僕の骨髄を提供する事になりました。
これが僕にとっての『君への罪滅ぼし』だと思っています。