ありがとうマンが贈る
〜心に残るありがとう〜 話
2019.10.09
何年か前の5月の連休中のこと。あるご夫婦が、ライトバンのレンタカーを借りて、佐賀から大分県の佐さい伯き 市を目指して出かけた。
佐伯市からは夜11時に四国行きのフェリーが出ていたからだ。
有料道路も整備されていなかった時代なので、充分な時間の余裕をもって出かけたつもりだったが、迷いに迷ってしまい、大分の湯布院に着いたときは、夜の9時だった。
ご主人はこれでは間に合わないとあせって、大分南警察署に飛び込み、佐伯までの近道を聞いた。
警察官は、「我々、大分の慣れた人間でも、佐伯までは距離があり、山道で複雑なので、道に迷ったり、事故にあうかもしれない。今晩はあきらめて、ゆっくりここへ泊まり、明日出かけたらどうですか?」とアドバイスした。
しかし、ご主人は、「それは、できません。実は、私たちの19歳になる娘が、高知県でウインドサーフィンをやっている最中に溺おぼれて亡くなった、という知らせを今日受けたのです。生きた娘に会いにいくのなら明日でもいいのですが、死んでしまった娘ですから急いで駆けつけてやりたいのです」と正直に事情を話した。
それを聞いた警察官はそういうことなら、「全力をあげて、何とか努力だけはしましょう」と言った。
そして、すぐにフェリーの会社に電話をし事情を説明して出港を待って欲しいと頼んだが、「公共の乗り物でもあるし、キャンセル待ちが何台もあり、難しい。とにかく10時半までには来て下さい」と断られたという。
そのやり取りをしている間、もう一人の警察官が署長に了解を取り車庫のシャッターを開け、しまってあったパトカーを出してきた。
そして赤色灯をつけてレンタカーの前にぴったりつけ、「今からこの車をパトカーで先導します。このレンタカーの運転もベテランの警察官が運転しますので、ご夫婦は後ろの席にかわってください」と言った。
そして、ものすごいスピードで大分市内まで降りてきて、「我々はここから先は送れませんが、とにかくこの
10号線をまっすぐに南に下ってください。そうしたら佐伯に必ず出られます。どうか、頑張って運転してください」と言って、敬礼をして戻って行った。
佐伯に着くと、警察官の再三再四の要請に、船会社も動いてくれ、一台分のキャンセル待ちのスペースを空けて待っていてくれた。そして、フェリーになんとか乗ることができ、娘さんの遺体を収容して帰ってくることができたという。
娘さんを亡くされたご夫婦は、その後何日間かはあまりの悲しみで呆ぼう然ぜんとし、何もできなかった。し
ばらくして気持も落ち着き、「あの時もし船に間に合わなかったら、どんな気持で一日待っただろうか」、と思うといてもたってもいられなくなり、大分南警察署にお礼の手紙を出した。
その手紙で皆の知るところとなったそのときの若い警察官は表彰され、こう言ったという。「我々だけじゃないと思いますが、人と人との出会いは損か得かじゃありません。損か得かだったら、こういうことは一歩も進みませんから」
私自身、今回のようなケース(生命に関わる)だからこそ、動けたのではと思ってしまいました。
こんなふうに思ってしまうのが、まだまだ小さく素直でない・・・・・。反省します!!!
人として、出会い(ご縁)をどう捉えるかが大切!素直に相手中心主義になってやっていきましょう!