D-time

Dタイム

ありがとうマンが贈る 
〜心に残るありがとう〜 話

2020.01.30

俺たちの子ども

兄家族が俺たちの家にやって来て、長女を押し付けて引っ越していった。

兄も兄嫁も甥っ子だけが生きがいみたいな所があったんだよね。
甥っ子は、本当に頭が良かったんだ。勉強は、教科書読めば全て頭の中に入ってくる。
スポーツも出来て人気者だったらしい。

長女は甥よりも出来が悪いと判断されて、ほとんど放置されていたらしい。
そのとき小学生だったけど、幼稚園生?と思えるぐらい細くて小さかった。

風呂には一か月に一回しか入れてくれなかったみたいで、そりゃ汚かった。
お風呂に入れてやったら、一緒に入っていた嫁が泣き出すんだよ。
「頭を洗ってあげただけで「ありがとう」って泣くんだよ。暖かいお風呂だねって泣くんだよ」って。

食事を出せば、「おいしいね、暖かいね」って言うんだ。
これはもうダメだって思って、兄貴に言ったら「100万よこせばそいつはやる」って。

嫁さんが「…100 万。子供をなんだと思ってる!」と怒った。
俺は怒りを通り越して呆れしか出てこなかった。
こんなのが兄貴だったんだって。

次の日、俺が自分の貯金から100 万おろして嫁さんに渡すと、
「実は私も」って嫁さんも100 万準備していた。

200 万兄貴に渡して「これで俺たちの子供だな!」って。
金で子供を買ったみたいでなんだかあの時は何とも言いようのない気持ちだったな。
俺たち、その時まだ22歳だったんだよね。

突然できた子供に、近所の人も驚いていたけど、優しい人たちばかりだったから色々助けてもらった。
長女が12歳の時に次女が生まれた。
不安もあったけど、長女はたくさん次女をかわいがってくれた。
お陰で次女はお姉ちゃんっ子に育った。

昨日は俺の誕生日だったんだけど「お父さん、誕生日おめでとう」って手作りの煙草ケースをくれた。
これがまた凝ってるんだわ。木と革で出来てるんだけど最高に使い心地がいい。
「吸いすぎないように」って書かれてるけど…

引き取った時とは、比べ物にならないぐらい明るい子に長女はなった。
友達もたくさんいて、良く家にも遊びに来る。
勉強だって俺に似ないで嫁さんに似たのか良くできる子だ。

そのかわりに次女はアッパラパー(お調子者で、今の自分を存分に楽しんでいる人)だけど、
友達もいるし元気なら良いや。
そのうち目覚めるでしょう…。

これから二人とも大きくなっていって結婚して家を出ていくのかなと思うとなんだか寂しいな。

久しぶりに兄から年賀状が今頃届いて昔の事を思い出したので書き込み、
「東大に受かったよ。息子。幸せな家族です」なんて書いてあるけど、
俺たち家族の方が、全然幸せで暖かい家庭だわ。

本当の幸せとは・・・
幸せって・・・
とても、一言で言い表せないものですね。

でも、答えは自分にある!自分自身がどう受け止め、どう解釈するかである!
人と比べることなく、自分を信じて幸せを感じていきましょう!

 by ありがとうマン

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