D-time

Dタイム

ありがとうマンが贈る 
〜心に残るありがとう〜 話

2021.06.28

「赤と水色のおもちゃの指輪」~もう私、頑張れないかも。もう、駄目~

 中々子供に恵まれないその夫婦は、三度目の流産を告げられた後、病院の待合室で悲しみに暮れていました。その時です、「もう死にたい」と泣く奥さんに、ひとりの少年が近づいてきました。
 「もう死にたい・・・。もうやだよ・・・。つらいよ・・・。」
妻は産婦人科の待合室で、人目もはばからず泣いていた。前回の流産のとき、私の妹が妻に言った言葉・・・「中絶経験があったりすると、流産しやすい体質になっちゃうんだって。」そのあまりにも人を思いやらない言葉に私は激怒し、それ以来 妹夫婦とは疎遠になっている。
 妻は口には出していないが、もの凄く辛い思いをしていたと思う。だから、今日までなんとか2人で頑張ってきたが、3度目の流産。前回も前々回の時も「また、頑張ろう」と励ましてきたが、励ます言葉が妻にプレッシャーをかけるような気がして、何も言えなかった。いや、そうではない。
 今考えるとおそらく、3度目の流産を告げられて、子供がいない人生を私は模索し始めていたんだと思う。私は、冷淡な動物だ。情けない。
「ごめんね・・・。でも、もう私頑張れないかも。もう、駄目だと思う。」待合室に妻の嗚咽だけが響く。
「ううん・・・○○(妻の名前)が悪いわけじゃないんだから。こればかりは、運だから・・・・。」それ以上、かける言葉が見つからなかった。その時、妻の隣に4~5歳ぐらいの男の子が座った。「あのね、これあげるから、もう泣かないで」その子が差し出した手の上には2つの指輪。おそらくお菓子のおまけだと思う。
男の子▼「水色のは泣かないお守り。こっちの赤いのはお願いできるお守り。」
私▼「いいの?だって、これ、ボクのお守りなんでしょ?。」
男の子▼「いいよ、あげるよ。ボクね、これ使ったら泣かなくなったよ。もう強い子だから、いらないの」
私▼「赤い指輪は?。お願いが叶うお守りなんでしょ?。これは、いいよ」
男の子▼「これね、2つないとパワーがないんだって。お父さんが言ってた」
 そう言うと男の子は「だから、もう泣かないで」と言いながら妻の頭を撫でた。少し離れたところから「ゆうき~、帰るよ~」という彼のお父さんらしき人が彼を呼ぶと、男の子は妻の膝に2つの指輪を置いて、「じゃあね、バイバ~イ」と言って去っていった。今時珍しい5分刈頭で、目がくりっとしたかわいい男の子だった。
 私はその子の後姿をずっと目で追っていたが、ふと隣を見ると、妻は2つの指輪をしっかりと握り締めていた。迷信とか宗教とかおまじないとか、そういったものはまったく信じない2人だけど、この指輪だけは、私たちの夢を叶えてくれる宝物に見えた。
 その日から妻は、さすがに子供用の指輪なのでサイズが合わないため、紐をつけてキーホルダーにしていた。
 それから2年半後の今年2月9日、我が家に待望の赤ちゃんが誕生した。2770gの女の子。名前は、あの男の子にあやかって「有ゆう紀き 」にした。 
生まれる前から、男の子でも女の子でも「ゆうき」にしようと決めていた。
 ゆうきくん、あの時は本当にありがとう。あの時、君に会えていなかったら、君に慰めてもらえなかったら、今、この幸せを感じることはできなかったと思う。
 私たち家族は、君に助けてもらいました。君からもらった2つの指輪は、娘のへその緒と一緒に、大事に保管してあります。
 我が家の宝物です。うちの娘も、君のように人に幸せを分けてあげられるような子に育って欲しい。本当に、本当にありがとう。

たまらないです!!!最後の「君のように人に幸せを分けてあげられるような子に育って欲しい」の言葉。震えました!!!

人は不思議に、何かにすがりたくなる時があります。今回のお話しからわかるように、ドン底に気持ちが落ちている時など。そんな時に、寄り添える人間になること、かける言葉が見つからなくてもいいから! 
そもそも、私たちが持っている愛を素直に表現することなのでしょうね。

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