ふるさとに
芸術・文化・伝統・風土を育む
展覧会に出展する作品は、ただ単に写実的なものではなく、構図やモデルに作者の意志、メッセージ性やストーリー性が必要だそうです。建設機械がモデルなんて、とても珍しいですね。ご自宅の座敷に保管されている作品を、楽しそうな表情で私に説明されている日下山さん。作品を眺めながら「絵は自分の子供みたいなもの。書いては直し、直しては眺める。めんどくさいと思う時もあるけれど、後から後悔したくないから、時間をかけて絵具を作って、納得するまでまた直す。それの繰り返し」と笑って話してくださいました。
「たくさんの絵をご自宅に置かれているのはもったいないですね」とお尋ねすると、気軽に地域の芸術家が常設展示できるような場所がないからだということでした。ただ唯一、この地域では五個荘が日本画家には理解があり、天秤の里文化センターにて展覧会を毎年開催されているそうですが…。先の戦争までは日本にも、芸術を愛し、芸術家を支援するパトロンがいましたが、今では大衆社会のなかで大衆が芸術やスポーツを育てる時代になり、認められた芸術家やスポーツマンはスポンサーがたくさんつくが、世に出る前の芸術家やスポーツマンは、志を半ばにせざるを得ない生活環境が現実としてあると、厳しい現実も聞かせてもらいました。地域の芸術家を応援するし、活躍してもらえる場の提供ができないのでしょうかね。
「写真で見るより実物を見ると、受ける印象や感動が違うから、毎年開催される日本美術院主催の展覧会(院展)、日本美術展覧会、滋賀県美術展覧会等へ行く機会をつくって、子供達にはもっと本物を見て欲しい」と日下山さんは強く希望されていました。本物に触れ、本物を知ることは、芸術にも生活にも心にも大切なことですからね。
この絵は日下山さんに無理をお願いして、わけてもらったものです。本格的な日本画とはまた違った味がある水彩画です。とても気に入っています。ちなみにモデルは、五個荘金堂町にある農家の家です。
芸術の秋にふさわしい、心豊かになるひと時を過ごさせてもらう事ができました。ありがとうございました。
落款を押される時は?展覧会に出展した際、入選すればその作品は登録されます。登録された時に落款を押します。