ふるさとに
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ふるな寄席”って、聞かれた事ありませんか?今回は”ふるな寄席”を主催しておられる、東近江市五個荘山本町の善覚寺住職、二橋信玄さんをご紹介します。
23年前に住職として善覚寺に来られた時、何とか気軽に、檀家さんはもとより、地域の人にお寺に来てもらえないものかと考えておられたそうです。そんなさなか、画家の鈴木靖将さんの紹介で落語家の桂九雀さんに出会われ、”ふるな寄席”を始めることを決められました。この時の心境を二橋さんは「檀家さんや地域の人に、田舎では実現しにくい、目の前で落語を体感してもらいたかった」とおっしゃいました。
“桂九雀とふるな寄席後援会”という名の下に10人の世話人が集い、いよいよ”ふるな寄席”への活動が始まりました。開催までは楽しく、わくわく準備を始めましたが、普通では大変なことばかりでした。舞台づくり、暖簾やのぼりや提灯、ポスターやチケット、バザーの準備など…。企画、集客、設営、撤収と様々なことを心強い10人の世話人さんに手伝ってもらい、平成9年5月11日、“ふるな寄席”の記念すべき第1回が開催されました。それから数えて、昨年までで12年間22回と回を重ね、毎年春・秋と開催される桂九雀さん夫婦を中心とした“ふるな寄席”は、地域の行事として定着してきました。最近はテレビドラマの影響もあって、生の落語を聞きたいと地域の皆さん以外にも親子連れもチラホラあって、老若男女を問わず多くの聴衆が“ふるな寄席”に足を運んでもらえます。多い時は130人位の入場があるそうですよ。“ふるな寄席”のもう一つの楽しみが、境内でのバザーや手作り菓子の振舞い、落語会の後のお楽しみ抽選会です。世話人さんが毎年工夫を凝らした企画で大盛況です。
住職は勿論、この世話人さん達もすべてがボランティアです。「楽しんでやっていてくれるから続くのでしょうね」と二橋さん。皆さんの一番の楽しみは、これまた手作りの打上げの飲み会だそうです。
ところで、“ふるな寄席”ってどんな意味があるのでしょう?”ふるな”とはお釈迦様の10大弟子の1人で、説法や弁舌が最も上手いと言われた富楼那尊者(ふるなそんじゃ)のことだそうです。落語も元々は僧侶が仏法を広げるために、面白、おかしく、分り易く話したことが発祥だと言われていまし、落語を通じて仏教や寺に親しんで欲しいとの思いから、この名前をつけられたそうです。
最初は、「せめて3年間開催を続けよう」が九雀さんと住職の目標だったらしいのですが…。第10、20回と記念すべき開催日には、お世話になっている九雀さんに感謝の気持ちを込めて、着物や帯をプレゼントされたそうです。今では「私か九雀さんのどちらかが死ぬまでやろか。ということになっています」と二橋さんはおっしゃいました。で…、そのためにも新しい世話人さんを募集されています。年齢、性別は問いません。家族ぐるみでの参画も大歓迎ですから、お気軽に“ふるな寄席”世話人に参画して下さいとのことです。宜しくお願いします。
各地域にある寺院はかつて、子供から老人まで人々の生活の中心にありました。時代と共に学びの場、娯楽の場ができ、仏事がある時だけにお寺を訪れるようになりました。そんななか善覚寺住職の二橋さんは、「理屈ぬきで喜んでもらいたい」「形に表れなくても、意識の中にあれば良い」と落語を通してお寺を行き易い、身近な存在にされています。次回の“ふるな寄席”は5月●日に開催されます。是非一度、足をお運びになって、落語に、お寺や仏教に、人々のやさしさに触れてみて下さい。当日は、”笑門”ののれんが掛かった山門が目印です。
今回は“ふるな寄席”へ10名の方をご招待します。ご希望の皆さんは、こちらまでお申し込み下さい。